"文学少女"と慟哭の巡礼者

“文学少女”と慟哭の巡礼者 (ファミ通文庫)

“文学少女”と慟哭の巡礼者 (ファミ通文庫)

シリーズ5巻目。
テーマは宮沢賢治の「銀河鉄道の夜
今回で今までの伏線をほぼ回収。
中学時代、美羽は何を思って心葉と接していたのか。
心葉は何を思って小説を書き、投稿したのか。
「コノハには、きっと、わからないだろうね」
何回も繰り返し使われてきたこの台詞の真意。
全てが明らかになります。


今回1番印象的だったのが竹田さん。
屋上での絶叫シーン。
プラネタリウムでの告白。
「……あたしは……フツウのヒトに、なりたい」
彼女がこの作品のもう1人の主人公なのかもしれませんね。


そして相変わらず不憫だったななせ。
心葉に「美羽を信じる」と言われた時の彼女の心境は、
想像するだけで胸が痛くなります……。
それでも、自分が嫌われると分かっていても、
心葉のために美羽と正面から向かい合う強さに感動でした。


美羽に関しては予想以上に重かったです……。
それまでアイデンティティーを確立していた全てを失い、
そんな事を何も知らずに接してくる心葉を恨み憎もうとする彼女。
ただ盗作してまで必死に物語を紡ぎ、心葉を引き止めようとする心に偽りはなく、これもまた一途な想い故だったんじゃないでしょうか。


最終的に過去を清算し、未来に希望を見出すような形で終了。
確かに心葉は変わっただろうけど、そんなにすぐ割り切れるんでしょうか。
これからまた好きになる可能性を最初から否定しなくてもいいのでは。
私は心葉×美羽が大好きだったのでちょっと残念です。


というわけで、残るは遠子先輩の話。
今回も相変わらず続きが気になる引き方だったので楽しみです><
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